
Editor’s Note
XピックアップAlibaba「Qwen Intelligence」発表、スマホAIを計画・操作・創作の3役に分業
Alibabaは、スマートフォン向けAI基盤「Qwen Intelligence」を発表した。ポイントは、新しい単一モデルを端末へ載せる話ではないことだ。複雑な依頼の計画、アプリの操作、コンテンツ制作を3つのエージェントに分け、スマートフォンメーカーが組み込む企業向けの仕組みとしている。
Alibabaの9月22日の発表と現行製品ページが挙げるのは、Mobile Planner、Mobile-Use、Mobile Creativeの3製品だ。一般利用者が一つのアプリをダウンロードする形ではなく、モジュールごとに導入方法が異なる。仕様、無料枠、価格もオンライン情報または商談で確認する形で、3製品を誰でも同じ手順ですぐ使えるとは確認できない。
一つの頭脳より、三役の連携
Mobile Plannerは、学習済みのPlanner Modelと状態を保つHarnessを組み合わせ、ツール、永続メモリ、Skills、専門サブエージェントを調整する。公開リポジトリでの公式評価では、27B版がMobilePA-Bench Overallで77.05となり、自身のベースラインを9.83ポイント上回った。これはAlibaba側の測定値であり、こちらで再現した結果ではない。
Mobile-Useに対応するQwen-UI-Agentは、モバイルだけでなくデスクトップ、Web、GUIとCLIを一つのエージェントで扱う。公式技術ページのデモ説明では、Douyinでレシピと材料を調べ、その情報をHemaへ渡して指定時刻に食材を注文する。従来の「一画面を操作するAI」から、計画を保ったまま複数アプリをまたぐ仕事へ対象を広げた格好だ。ただし、これは公開デモの説明であり、独立した実機検証ではない。
開いたのは評価基盤、製品本体とは別
同時に公開されたMobileWorldは、20アプリ、201タスクを収録し、GUIのみ、ユーザーとの対話、MCP併用を切り替えて評価できる。再現には特権コンテナ対応のDocker、KVM、Python 3.12以上、LinuxまたはKVM対応WSL2が必要で、9月24日の確認時点ではmacOS対応は作業中だ。手軽なスマホ用ベンチマークというより、実行環境まで含む開発者向けの試験場に近い。
ここは境界をはっきり見たい。MobileWorldのコードはApache-2.0で公開されている一方、Plannerのリポジトリはモデル重み、学習コード、エージェント実装の公開場所ではないと明記する。「ベンチマークを公開」と「エージェント本体をオープン化」は別の話だ。
性能値にも未解決のずれがある。9月23日のX投稿はAndroidDailyを97.2としたが、9月24日に確認したQwen-UI-Agent公式ページは97.5を掲載している。訂正なのか、評価設定や版の違いなのかは資料から確定できない。同ページのMobileWorld 82.1という比較値にも、公式評価と環境やタスク部分集合が異なる場合があるとの注記がある。製品選定では順位だけでなく、導入形態と評価条件を合わせて見る必要がある。
参考資料
- AlibabaのフルスタックAI戦略発表
- Qwen Intelligence製品ページ
- Qwen-Planner-Agent(GitHub)
- Qwen-UI-Agent Technical Report
- MobileWorld(GitHub)


