
Editor’s Note
XピックアップGradiumがPhononを公開 31MはApache 2.0、Apple向け実行経路は2系統
Gradiumは10月20日、小型の音声合成モデル群「Phonon」のウェイトと安定版ランタイムを公開した。Prince Canuma氏はXで、Apple Siliconを対象にMLX-Audioが初日から対応したと紹介している。手元の端末で音声を生成したい開発者にとって、非公開ベータだったモデルが、実際にダウンロードして組み込める段階へ進んだことが大きい。
31Mと40Mではライセンスが違う
Gradiumの発表と0.4.0のリリースノートによると、今回公開されたのは31M・40Mのモデル群と、Rust製でPyTorchを必要としない初の安定版ランタイム「Phonon 0.4.0」だ。
ただし、自由度はモデルごとに異なる。
- 英語専用の
phonon-31m-enはApache 2.0 - 英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語の単言語40M版と5言語統合40M版はCC BY-NC 4.0
- 40M版はHugging Faceで利用規約への同意とログインも必要
10月21日の公式記事は31Mのリポジトリを「multilingual model weights」と案内しているが、リリースノートと31Mのモデルカードはいずれも31Mを英語専用、5言語版を40Mとしている。利用判断ではこの食い違いに注意したい。また「31M」は音声トークナイザーを除いた数で、モデルカード上の総モデル表示は41.1M、8ビット量子化ウェイトは64.5MBだ。
Apple向けはMLX-AudioとSwift/Core MLを分けて見る
10月22日時点のMLX-Audioのmain文書では、Apple Silicon上で31M・40M版を24kHzのストリーミング音声として生成でき、Python APIまたはCLIの--streamを使う。一方、公式のPhonon 0.4.0は別経路として、iPhone・Mac向けの31M版Swift/Core MLバンドルを提供する。X投稿はiOS・iPadOSを含むMLX-Audio対応に触れているものの、公開文書で確認できるMLX-Audioの手順はApple Silicon上のPython/CLIまでで、iPadOSやSwift経路の詳細はまだ読み取れない。
使う側から見ると、Macで素早く試す経路と、Appleアプリへ組み込む公式経路を同じものとして扱わないのが要点だ。31M版は英語以外を正しく発音できず、数字・日付・通貨の正規化には入力と一致する言語指定が必要。長文は文ごとに分割されるため、文章全体をまたぐ抑揚も維持されない。
速さと自然さは提供者評価
Gradium掲載の英語評価では、自然さの盲検比較で31M版がElo 2098、Kokoroが2043だった。条件は468人、8,290票で、独立した再現評価ではない。速度も、MacBook Air M5、macOS 26.7.1、KleidiAIなし、CPU 4スレッドで、約5秒の同一英文を2回ウォームアップ後に10回測った中央値として、31M版は29.9倍速・初回音声6.9ms、Kokoroは10.9倍速・517msとされる。ただしKokoroは非ストリーミングで、初回音声が文全体になる。数字は魅力的だが、方式の違いを含む比較であり、こちらで検証した結果ではない。
参考資料
- Gradium:Open-Sourcing Phonon
- Phonon 0.4.0リリースノート
- Phonon 31M英語版モデルカード
- MLX-AudioのPhonon実装文書
- Gradium:Phonon公開記事


